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『死の島』(しのしま、)は、スイス出身の画家アルノルト・ベックリン(1827年 - 1901年)の代表作の絵画。ベックリンは1880年から1886年の間にこの謎めいた主題で繰り返し作品を描いており、作品はそれぞれ少しずつ異なっている。20世紀半ばのヨーロッパでは非常に有名になった絵であり、ナボコフの小説「絶望」にも「ベルリンの家庭という家庭でみることができた」という記述をみることができ〔Nabokov, Vladimir (1936; English translations 1937, 1965), ''Despair'', p 56.〕、郵便はがきのデザインとしてもたいへん人気があった〔ツェルガー p. 84〕。フロイト、レーニン、クレマンソー、ラフマニノフ(交響詩『死の島』を作曲した)、ヘッセたちもこの絵を好んで飾っていたことで知られるが、この絵や作者のもつペシミズムや死のイメージはなかでもアドルフ・ヒトラーおよびナチスの理想と共鳴することになる〔。 == 作品 == 「死の島」はどれも暗い水辺の向こうに浮かぶ荒廃した岩の小島を描いている。小さな手こぎの船がちょうど岸辺の水門と防潮堤のところへ来たところだ。こぎ手は後尾から船を操縦している。水門を前にした船には白いものですっかり覆われて立つ人の姿がある。そのすぐ後ろには花綱で飾られた白いものがあり、これはふつう棺と解釈される。狭い小島に広がるのは密になった高く、暗い糸杉の木立であり―受け継がれてきた墓と喪の歴史を連想させる―切り立った険岸を縁取っている。岩壁に穿たれた墓所と窓も葬送の主題に属する。 ベックリン自身はこの絵の意味について何の説明もしていないが、はっきりと「夢のような絵。誰かにドアをノックされたら驚き慌てるような静謐さを必ずともなって」と語っている〔Culshaw, John (1949), ''Rachmaninov: The Man and his Music'', pg 73.〕。1883年に美術商のフリッツ・グルリットがつけた題は、したがってベックリンが指示したものではないが、1880年に絵の元の依頼者に送った手紙にあった言葉に由来するものではある。「死の島」の初期ヴァージョンの過去はあまり知られていないが、多くの人が船のこぎ手をギリシア神話において死者の魂を冥府へと案内するカローンのそれと解している。水はつまりステュクス、あるいはアケローン川であり、白で覆われた船客は死後の世界に連れて行かれる亡くなったばかりの人間の亡霊となる。 ベックリンはしばしば島をモチーフにして絵を描いていた〔ツェルガー p. 23〕。文明から隔絶した孤独な「死の島」は聖域としての自然であり、画家のペシミズムと文明への嫌悪感、無常観をよく現している。ベックリンの孤独は、単純に神話や英雄と結びつくわけではなく、社会への一つの意見表明であり〔ツェルガー p. 40〕、これらのテーマがそのまま作者に送り返されてベックリン自身と重ねられる〔ツェルガー p. 60〕。島にそなわった墓は画家その人のものでもあり、芸術と画家とはこの絵によって神話の領域にまで高められている〔ツェルガー p. 66-68〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「死の島 (ベックリン)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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